防災の必要性は分かってる。
だけど、他にもやらないといけないことがたくさんあるし、いつ・何が起こるのか分からないことに対して備えるのは難しいから後回しにしてしまう。
また今度考えよう、を今日にしてみよう。
防災意識と行動のギャップ
災害大国日本において、多くの国民は災害に関心を持っています。
しかしながら、現実には防災に取り組んでいる人は意外と少ないのです。
①意識調査からみえる実態
例えば,セコム株式会社が2022年9月に実施した意識調査によると、90%以上の人が今後、災害の増加や被害が拡大する可能性があると答えた一方で、何かしらの防災対策をしていると答えた人は約47%でした。
近年、頻発する地震や気候変動の影響でこの割合は上昇傾向にあるものの、防災意識が実際の行動に必ずしも結びついている訳ではないようです。【図1-1,図1-2】
出典:全国の20歳以上の男女500人を対象に「防災に関する意識調査」2022/8/24(セコム株式会社)
②防災意識が行動にともなわない理由
次に、ほぼ同時期に内閣府がおこなった防災に関する世論調査の結果をみてみます。
大地震に備えている対策として、「家具・家電などの固定ができていない」と答えた人の理由には、大きく2つの要因がありました。【図2】
危機感の欠如
最も多い回答が「先延ばしにしてしまっている」次いで「面倒だ」「お金がかかる」といった回答も多いです。
取り組む意思はあるものの後回しにしてしまっていたり、被害を防ぐための手間や費用を惜しんでしまっていたりしているのが実態です。
また、自分は大丈夫、この地域は大丈夫とどこか他人事のように考えてしまっている人も多いのではないでしょうか。
知識の欠如
その他の理由として「自分にはできない」「危険ではない」「固定の仕方が分からない」といった回答があります。
防災に必要な知識がなかったり、知識があっても難しそうと敬遠してしまったりしていることが見て取れます。
このように、実践的な防災知識を手軽に得る機会が少ないことも第二の要因として考えられます。
③ 今日、考えること
災害への関心と実際の行動にはギャップがあることと、その要因が分かりました。
今日は、防災を知り、すぐにできそうな防災行動をひとつ選んで実践してみましょう。
防災のおさらい
①防災と減災を知る
「防災」と同時に、「減災」という言葉もよく耳にしませんか?
これらは被災することを前提としているか否かという点に違いがあります。
つまり、被害を完全にゼロにする、というのは難しいという考えの上で「減災」という言葉があります。
防災と減災は並行して考えていきましょう。
②実際に起こった災害を知る
2021年に実際に発生した主な災害を振り返ります。【図3】
7月 広範囲にわたる集中豪雨による災害
東海/関東/東北/中国/九州と広範囲にわたる大雨により、各地点で降水量の記録の更新が相次ぎました。
全国で274件の土砂災害が発生し、住家の全壊が59棟、半壊・一部損壊が440棟、床上・床下浸水が2,945棟と甚大な被害がありました。
8月 千葉県北西部を震源とする地震による災害
埼玉/東京で震度5強のほか、関東地方を中心に東北地方から近畿地方にかけて震度5弱から1を観測しました。
終電間際だった事から、多くの帰宅困難者が発生しました。
12月 大雪による災害
福島県で最高162cmの積雪を観測しました。
今冬(令和3年11月1日~令和4年3月31日)の雪による死者は97名、重傷者は580名でした。
いかがでしょうか?
私たちのいる日本では、多くの地域で様々な災害が多種多様な被害をもたらしています。
ひとりでは身を守ることの難しい子供たちのために、小さなことからでも「防災・減災」に取り組む必要がありますよね。
コレから始める防災!
内閣府HPでは「今すぐできる7つの備え」を掲げています。
- 自助、共助
- 地域の危険を知る
- 地震に強い家
- 家具の固定
- 日ごろからの備え
- 家族で防災会議
- 地域とのつながり
そのうちの一つ、⑦地域とのつながりに関して「ぼうさいまち歩き」という取り組みがあります。
お散歩のコースに避難場所を組み込んだり、園児と一緒に災害時には危険な場所や防災施設へ訪れてみたりしてみてもいいかもしれません。
その他の項目の詳細は、減災のてびき内に掲載されています。
また、皆さんは「ぼうさい探検隊」をご存じですか?
小学生前後の子供向けのプログラムではありますが、面白い取り組みなので是非一度、見てみて下さい。
「ぼうさい探検隊」とは、子どもたちが楽しみながらまちにある防災・防犯・交通安全に関する施設や設備などを見て回り、身の回りの安全・安心を考えながらマップにまとめ発表する、実践的な安全教育プログラムです。
実践的な安全教育プログラム「ぼうさい探検隊」の実施(一般社団法人日本損害保険協会)
まずは、こういった取り組みを知ること、そしてお子様たちにも共有し話し合う機会を作ることが大切ですね。
まとめ
自然災害は決して他人事ではありません。
いつ、どこで自身の身に降りかかるか分からないという危機感を持ちつつ、正しい知識を得て身近なことから行動に移していくことが、防災への第一歩に繋がります。
「ほいく防災なび」では、わかりやすく実践的な防災知識を得られる場所になるよう発信をスタートしました。
小さな園児を守ることはもちろん、職員、保護者の皆様の防災行動を始めるきっかけとしてお役に立てると、とてもうれしく思います。