見落としがち?園における日常の防災対策

災害大国の日本では、定期的な避難訓練などで“もしも”の時に備えている園がほとんどです。
しかし、避難訓練を実施して安心だと思っていませんか?
災害時の備えは避難訓練の実施だけではありません。
今回は、保育園・幼稚園で出来る日常の防災対策をご紹介いたします。

目次

園の安全点検をする

まず見落としがちなのが、定期的な園内の安全点検です。
確認が必要なポイントをご紹介します。

建物

まずは基本の耐震・耐火について専門家に診断を受けましょう。
その際、園舎だけではなく、ブロック塀のある園さんの場合はそちらも確認するようにしましょう。2018年に発生した大阪北部地震では、小学校のブロック塀が倒れて、登校中の小学生が亡くなる事故がありました。ブロック塀の下敷きになり、亡くなる事故は子どもだけではなく、大人でも多数報告されています。今一度、自園の建築物を確認してみましょう。


ガラス

地震発生時は、窓ガラスが割れる事もあります。
また近年では風水害も増えてきている傾向にありますので、ガラス戸の飛散防止としてシートを貼ったり、ガラスより割れにくいアクリルガラスに変えるなど工夫しましょう。
また、蛍光灯を使用している園さんでは蛍光灯専用の飛散防止カバーなども発売されていますので、防災対策の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。


避難経路

避難計画として避難経路を設定している園さんも多いでしょう。しかし、日常の保育で避難経路付近に大きな荷物が置かれて、スペースが狭くなっていることはありませんか?
災害時、園児が一斉に避難する関係で避難経路はどんな時でも大きなスペースを開けておく必要があります。
また避難経路に物が増えれば増えるほど、道を塞ぐ可能性はその分高くなっていきます。
あとで片付けるから大丈夫!と避難経路となっているスペースに物を放置するのはいますぐに止めて、適切な場所に配置しましょう。
災害は、私たちのタイミングを考慮して発生する訳ではありません。


大きな家具や楽器

園内の家具やピアノなどは床や壁に固定されていますか?
慣れ親しんだ家具や楽器も、災害時には命を危険に晒すものとなる場合があります。
またついついピアノの上や家具の上に、何か重いものを置いてそのままにしていませんか?
せっかく大きな家具やピアノの転倒防止策が取られていたとしても、その上に重い物を固定せずに置いていては怪我のリスクが高まります。
何か物を置いたのであれば、使い終わった後はすぐに元の場所に戻して、放置しないようにしましょう。


火災対策

消火栓や消火器の近くに物を置いていませんか?
もしもの時に取り出しづらい状況になっていると初期対応の遅れに繋がります。
不必要なものを消火栓、消火器の近くに置かないようにしましょう。
また見落としがちなのが、コンセントです。
コンセントが老朽化したまま放置していたり、使っていないのに挿しっぱなしだったり、埃が溜まっていたりしませんか?
コンセントが出火の原因になることも少なくありません。安全な園運営の為に、コンセントは使用後すぐに抜く、定期的にコンセントの老朽化チェックを行うなど日々の保育の中で確認を習慣づけましょう。

ご紹介した安全点検は1度ではなく、定期的に見直しすることが重要です。
また、日常の保育の中で確認するクセづけを行えば、さらに安全な園運営を実現できます。
誰か1人ではなく、全職員で情報を共有し合い、もしもに備えましょう。

避難訓練

防災対策として皆さまが定期的に実施されているのが避難訓練だと思います。
しかし、この避難訓練、なんとなく行事の一つとしてこなすだけになっていませんか?
災害時を想定した緊迫感のある訓練を実施しなければ、子どもたちも、もしもの時にパニックになってしまいます。

また以前作成した避難訓練計画をずっと使用していたりしませんか?
周辺の建物状況が変わったり、園内の設備が変わったらその都度見直す必要があります。
今一度、自園の避難訓練計画に目を通し、もしもの時に適応できるものになっているか確認しましょう。

災害別に避難訓練のポイントを解説したコラムも掲載しております。

防災グッズ

災害時に持ち出す防災バッグなどはどの園さんでも用意があると思います。
しかし、その中身や使い方は、全ての職員が把握できていますか?
そしてどこに設置されているか把握していますか?

持ち出し担当を事前に決めていたとしても、その先生が災害発生時に近くにいるという保証はありません。誰でも対応できるように設置場所や中身、使用方法は皆さん把握できている状態にしましょう。

また、設置場所に関しても取り出しやすく目につく場所に設置するように心がけ、中身は定期的に利用できるかの点検を実施しましょう。

地域住民とのコミュニティーづくり

災害時、先生は大勢の子どもたちを連れて避難する必要があります。
避難の道中、不安になって泣いてしまったりする子どもたちも少なくないでしょう。
そんな時に地域の方々に少しでもご理解いただけるよう、日常の保育の中で、地域の方々と良好な関係を築いておくことをおすすめします。

子どもたちへの教育

災害時、適切な行動が必要なのは園内だけの話ではありません。
園外でも、災害時には適切な判断を子どもたち自身に求められる場合があります。
その為、日常の保育の中で防災意識を子どもたちに持ってもらうことが大切です。

子どもの命を守る!保育園・幼稚園の避難訓練のポイント解説でも一部紹介していますが、
子どもたちに分かりやすい伝え方として「おかしもち」といった覚えやすいキャッチフレーズを何度も伝えたり、絵本の読み聞かせで防災知識を深めたりしましょう。

園職員への教育

災害時に最も適切な判断を求められるのが、園職員です。
避難計画に沿って子どもたちを誘導する中で、想定外の事が起こることもあるでしょう。
その時に、咄嗟に判断できるかどうかは防災知識を持ち合わせているかどうかが大切になります。

避難訓練の際に自園の防災対策に関して繰り返し伝えたり、例えば定例の会議があるのであれば、その場で防災に関するコラムの情報共有をするなど、日常の中に防災を取り入れてみてください。

まとめ

今回は、園職員の方向けに保育園/幼稚園で出来る日常の防災対策をご紹介いたしました。
大切な子どもたちの命を守る為に、今回ご紹介した対策は園内で共有いただいて、皆さまで対策を実施いただけたらと思います。

この記事を書いた人

学生時代はキッズフォトスタジオにてアルバイト。
そして、だいすきな子どもたちの笑顔を守りたい!という思いで、園の防災を支えるニシハタシステムへ入社しました。
数多くの園長先生とお話しする中でお伺いした園業界ならではの課題や悩みを、少しずつ解決していけるよう発信していきます

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