保育者全員に告ぐ!今知っておくべき不審者対応マニュアル

近年、様々な場所で不審者が侵入したなどのニュースを耳にしますよね。保育園や幼稚園でも不審者が侵入したという事件も発生しています。
「不審者から子どもたちを守るためにはどう戦えばよいのか?」と不安に思っている保育士たちも多いのではないでしょうか。

不審者を相手にするというのは恐怖だと思いますが、「いかに冷静に対応するか」ということが大切になってきます。

目次

不審者を入れない対策

不審者対策というと、不審者が入ってきたらどうするか?ということを考えがちですが、最も大事なことは、「不審者を入れないこと」です。まずは保育者全体で「絶対に不審者を入れない」という意識を持ち、安易に玄関を開放しないようにルールを徹底しましょう。
そして、それと同時に、保護者にも協力してもらうことが大切です。

知らない人が園に入るパターン

知らない人が園に入るパターンとして、送迎の際、保護者の後ろに人がいて、保護者がそのまま扉を開けた状態にするということがあります。
保護者としては、誰かのお迎えが来るだろうと思い親切心から開けた状態にしてくれることがあるのですが、これは避けましょう。

保護者には、玄関の開錠については必ず保育者が判断して行いますということを伝えておきましょう。
「子どもたちの安全のためにご協力をお願いします」と丁寧に説明すれば、理解してもらえるはずです。

地域の人との連携も大切

地域の人との連携も大切です。普段からご近所の方との交流を持つようにすれば、何かあった時に協力を頼みやすいというメリットがあります。
また、不審者を見た際に園に連絡をしてくれるということも期待できます。

地域に開かれた保育園を目指しているのに、防犯対策のために高いフェンスを立てたり、扉を閉めっぱなしにしていたりというのには抵抗があるという園もあると思います。
確かに、地域との交流は子どもたちの育ちにとても大切な中、閉ざされた園のようになるのはどうなのだろうと感じるかもしれません。

もちろん、不審者を入れないために対策は必要ですが、工夫次第で地域との隔たりの無いやり方もあります。
例えば、塀のように全く見えない状態にするのではなく、色鮮やかなフェンスにし、解放感や明るさを残す方法もあります。

不審者訓練のポイント

保育園の不審者対応訓練は、不審者役を立ててリアルに行ったり、実際に刺股(さすまた)を使用したり、実践的な訓練を行っているところが多くあります。ただ、訓練をしていても実際に役立つのか不安に思っているという保育士の方も多いのではないでしょうか。

少しでも自信が持てる訓練の方法についてご紹介します。

様々なパターンで行う

いつも同じパターンではなく、「玄関ではなく窓から入ってくる」、「こどもたちが園庭で遊んでいる時」、「公園に不審者がいる」など様々なパターンで実施すると実際の対応時にも訓練の経験を活かすことができます。

様々なパターンを想定
・玄関ではなく窓から入ってくる
・こどもたちが園庭で遊んでいる
・公園に不審者がいる etc.

攻撃ではなく防御

不審者対応の際、刺股(さすまた)を使い不審者を攻撃することがあるかと思いますが、忘れてはならないのが、「子どもたちを守ること」であり、あくまでも防御のために使うということです。

使い方に慣れていない人が刺股を使うと、不審者に奪われてしまい逆に凶器を渡すことになりかねません。
刺股を使う場合には警察の方から指導してもらい、正しい使い方を全職員が学んでおくようにしましょう。

戸外での不審者対応

公園で子どもたちが遊んでいるときに不審者が現れるという事例がいくつもあります。
「子どもたちの様子をじっと見ている」、「スマホを子どもたちに向けている」など怪しい人物がいると思ったら、すぐに対処できるよう事前に対策を考えておきましょう。

すぐに園に連絡をする

戸外活動中の保育士の数は少人数のことが多く、もしも不審者が襲ってきた場合、子どもたち全員を守るのはとても難しい状況です。不審者なのかどうかはわからないという状況でも、できるだけ早くに応援を呼ぶなどの対処をしておくことで最悪の事態を避けることができます。

子どもたちを集める

怪しい人物を見かけたとき、死角に子どもがいると狙われる場合もあるため、まずは子どもたちを集めることが大切です。
ただし、不審者がいるからと急に子どもたちを呼び戻すと、子どもたちが気づいて不審者をじっと見て、不審者側も気が付いてしまうことがあるため、できるだけ自然体で集めるようにしましょう。

例えば、水分補給をするよう声を掛けたり、集団遊びに誘うなど、さりげなく呼び戻すことがポイントです。そして、できるだけ自然体で公園から離れるようにしましょう。

まとめ

不審者対応はどのような状況になるかが想像しづらく、対応訓練も難しいと思います。

まずは「不審者を絶対に園内へ入れない」という意識を全職員が持ち、未然に防ぐことを徹底できるようにしましょう。

その上で、万が一入ってしまった場合にどうするかを職員間で繰り返し話し合い、訓練を行うことが子どもたちを守る最善の対策です。

この記事を書いた人

高校卒業後、女性消防官として都内の消防署に勤務。結婚を機に退職後、保育士の資格を取り、認可外保育所、認証保育所、認可保育所の園長を経て独立。
現在、一般社団法人保育の寺子屋代表理事として保育園の防災指導や保育士の育成、保育防災スペシャリスト認定講座等を行う。
2022年に保育士のための保育防災ハンドブックを制作、2023年2月 には保護者のための保育防災ハンドブックも制作する。

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