台風が接近した際、大切な子どもたちの安全を確保するための行動を知っていますか?強風や大雨による被害が予想される際、建物内にいれば安全だと考えていませんか?しかし、台風は急速に悪化することがあり、初めは穏やかな天候でも、気付いた時には避難が難しい状況になることがあります。
台風被害から園児を守るために、今回ご紹介する台風から身を守るためのポイントを台風接近の際は意識し、実践してみてください。
日本各地で発生している台風の被害
台風の被害は、強風による建物の崩壊や飛来物による被害だけではなく、水害や高潮害など、さまざまな災害が合わさって大きな被害をもたらす危険性があります。
近年でも、死者や行方不明者を出す大規模な台風被害が発生しています。
例えば令和元年に発生した東日本台風(台風第19号)は、関東地方、甲信越地方、東北地方の広い範囲に大雨、暴風、高波、高潮をもたらし、死者90名、行方不明者9名、住家の全半壊等4,008棟、住家浸水70,341棟の被害が報告されました。
国土交通省の発表したレポートによると災害外力(災害時にそとから加わる力)による犠牲者数は洪水、河川、土砂、強風の順番で多く、台風=雨風だけに気をつければ良いというわけではないことが分かります。
台風への防災の重要性
このような大きな被害をもたらす台風にも、事前に対策をしていれば被害を最小限に抑えられるということがわかる例をご紹介します。
台風被害の犠牲者の多くが60代以上の高齢者という特徴がありますが、埼玉県川越市の特別養護老人ホームでは過去の水害被害を踏まえて、洪水に関する避難確保計画の作成と避難訓練を毎年実施しており、この避難確保計画と避難訓練に基づいて迅速な避難行動を実施し、職員と利用者100人全員が無事に避難しました。
園児の避難を誘導する責任のある園職員の方々にとっても、この特別養護老人ホームの事例はお手本にするべき台風発生時の行動ではないでしょうか。
台風から身を守るためのポイント6選
それでは具体的に台風から身を守るためのポイントをご紹介します。
①非常用持ち出し袋/防災バッグの点検
まずは、台風が発生する前にできる日常の備えについてです。
多くの園さんが非常用持ち出し袋や防災バッグを用意していると思います。
この非常用持ち出し袋や防災バッグは定期的に点検していますか?
中身に不足が無いか確認することはもちろんのこと、食料品の賞味期限が切れていないか、電池式のラジオや懐中電灯を用意している場合は動作確認をするなど、用意して終わりではなく、定期的に点検する必要があります。
また中身の点検をする際に同時に確認していただきたいのが、非常用持ち出し袋や防災バッグの置き場所です。通常保育の中で、邪魔になったので元の場所から動かしてそのまま他の荷物と一緒に埋もれていたり、非常用持ち出し袋や防災バッグの近くに物を置いたりしていませんか?非常時に困らないように、非常用持ち出し袋や防災バッグは必ず持ち出しやすい場所に配置し、先生方全員がその場所を把握するようにしましょう。
非常用持ち出し袋や防災バッグに入れるべきグッズは以下のコラムでもご紹介しておりますので、是非ご一読いただき、自園の非常用持ち出し袋と比較してみてください。
②避難場所までの行き方を確認する
避難経路については各園の防災マニュアルに記載があるかと思います。その避難経路に関して、過去に作成してから更新していない場合は、ハザードマップと照らし合わせ、避難経路の中に危険箇所が含まれていないかを確認しましょう。
ハザードマップと聞くと面倒に感じてつい後回しにしてしまう方も少なくないと思いますが、園の所在地を入力するだけで該当地域の被害想定を確認でき、災害リスクをテキストに起こしてくれるので、簡単に確認する事ができます。
③危険な場所に近づかない
台風は最初は弱い風や雨でもあっという間に大きな被害をもたらす強風や大雨に変化します。
台風が接近している時には、海や河川付近はもちろんのこと、樹木やブロック塀にも近づかないようにしましょう。また雨風が強まってきた時には、万が一に備えて園内にいる場合でも、窓ガラスの付近には近づかないようにするなど意識的に危険な場所を避ける行動を取りましょう。
④雨風が強くなる前に施設の補強をする
台風によって強い雨風が予想される際は、窓に雨戸やシャッターがある場合は下ろし、カーテンを閉めましょう。
また、窓ガラスが破損した際にガラスの散乱を防ぐために養生テープを貼って対応するのも良いでしょう。養生テープでの窓ガラスの補強は、職員や園児の登園が無い際にも、対応しておくことで被害を最小限に抑えることができますので、休園日に台風が接近しそうだという場合にも活用いただけます。
また、園庭に植木鉢や遊具を出している場合は、雨風が強くなる前に園内に取り込みましょう。
⑤雨が降り出したら!警戒情報に注意する
台風の時には、1時間前まではいつも通りの雨だったのに、いつの間にか外にも出ることができないほどの大雨になっているということがあります。園児を連れての避難は避難指示が出てからでは困難になる場合がありますので、警戒情報には細心の注意を払い、警戒レベル4の避難指示が出る1つ手前の警戒レベル3 高齢者等避難が発令された際には避難の準備もしくは避難をするようにしましょう。
災害時に役立つサイトやアプリを紹介したコラムもございますので、この機会に合わせてチェックしてみてください。
▷【保存版】災害時の情報収集に役立つTwitterアカウント5選!
また気象庁の提供する「キキクル」というサイトでは、台風の際に発生しやすい土砂災害、浸水害、洪水災害発生の危険度を確認することもできます。
警報が発令された時に、どこにどのような災害の危険が高まっているのか確認することができるので、自園にどのような危険が迫っているのか、そしてその危険度はどのくらいなのか把握するのにご活用いただけます。
▷キキクル
このキキクルは民間企業と協力して警戒レベルが避難が必要なレベル4(避難指示)まで高まった際に、メールやスマホのアプリ通知でお知らせしてくれるサービスも提供しています。
日々の保育の中で、なかなか警戒情報にまで気を配ることができないという場合も以下のサイトから通知サービスを登録しておくことで、もしもの時に備えることができます。
⑥危険を感じたらすぐに避難する
台風にともなって発生する河川の氾濫や土砂災害は一気に起こることがその特徴です。警戒レベル3の高齢者等避難で避難することや警戒情報が出ていない場合でも危険を感じた時にはすぐに避難できるように園職員の間で認識を統一しておきましょう。
また、もし強い雨風や浸水で避難場所への避難が難しい場合には、窓から離れ、建物の2階といった園内のできるだけ安全な場所に待機したり、近隣の丈夫な建物へ移動しましょう。
まとめ
今回は、台風から園児と職員の身を守るためのポイントを6つご紹介しました。
コラム内でご紹介した情報を今日から実践いただくことはもちろんのこと、園内で他の先生方に共有いただいて、実際に台風が接近した時に協力し合いながら適切な行動を取っていただければと思います。