世界有数の地震大国の日本では、皆さんの記憶にある限りでも数多くの大地震が発生しています。地震発生のタイミングを予想することは非常に難しいため、事前の備えが地震から身を守る手段として有効になっています。
今回は、地震発生の前に事前にできる備えに加えて、地震が発生した時に安全を確保する為の行動と大きな地震が落ち着いた後に取るべき避難行動について紹介します。いつか来るかもしれない大規模地震への備えとして、ご参考になりますと幸いです。
地震から身を守る為、事前にできる備えとは
地震が発生すると普段の生活では出来ていたことが出来なくなります。
例えば、通信が途絶えて連絡を取り合うことができなくなったり、大規模地震によって建物や道が崩壊することもあります
そんな時、状況を冷静に判断できますか?
冷静な判断を実現する為には、事前に備えられる物は準備をする事が大切です。事前にできる備えを見ていきましょう。
非常用持ち出し袋・備蓄品の準備は万端に!
非常用持ち出し袋や備蓄品の中身は定期的に点検していますか?
準備はしているけれども、一度中身を詰めたら放置して、中身を把握していない方は少なくないようです。
食料品の賞味期限の確認やライト・ラジオなど電池が必要なものは電池切れを起こしていないか、救急用品は清潔な状態を保てているかなど定期的に点検をすることで、準備を万端にしましょう。
▽関連コラムでは、子どもたちの命を預かる保育園や幼稚園などで準備するべき防災グッズをリストにしてご紹介しております。本コラムと併せてご確認いただくと良いでしょう。
避難経路に危険は潜んでいないか確認する
避難経路は事前に設定している園がほとんどだと思いますが、いつもは安全な道でも、地震によって危険な道に変わり果ててしまうこともあります。地震発生時に、避難経路に潜む危険をいくつかご紹介しますので、園で決定している避難経路に危険は潜んでいないか確認してみましょう。
ブロック塀や門柱
地震によってヒビが入ってしまったり、目には見えないけれども少しの衝撃で突然倒れたりすることもあります。大きな地震が発生すると、ブロック塀や門柱の下敷きになり、命を落とされる方もいらっしゃいます。特に小さな子どもたちを連れた避難の際は、ブロック塀や門柱のある道は避けましょう。
自動販売機
一見頑丈そうに見える自動販売機ですが、ブロック塀や門柱と同様、大きな地震の際には倒れる可能性があります。避難の際は、自動販売機の前を歩くことは避けましょう。
路肩
地震によって地盤が緩むと路肩は崩れる事があります。
避難経路に危険な箇所はないか事前に確認し、避ける事ができるのであればその道は通らないようにしましょう。
山や崖
山沿いや崖沿いに園舎があるもしくはお住まいの場合は、揺れを感じたらすぐに避難しましょう。山崩れや崖崩れは発生してから逃げるのでは、間に合わないくらい速いスピードで迫ってきます。避難指示が出るのを待たず、危ないと感じたら周囲の状況を確認しながら避難行動を開始できるように、避難行動をするタイミングは事前に決定し、職員全員で必ず共有しましょう。
避難経路に大きな荷物は置かない
日々の保育の中で、少しの間だからと通路に大きな荷物を置きっぱなしにしていたりしませんか?地震はタイミングを選んではくれません。その少しの油断によって避難経路が断たれてしまい、事前に決めた避難行動ができなくなってしまう事も考えられます。
通路を塞いでしまうような大きな荷物は例え少しの時間でも広いスペースに置くようにルール化するなど、細かいと感じるような事でも防災の意識を持って、行動を変えていきましょう。
地震発生!安全を確保する為の行動とは?
地震が発生したその時、どんな行動を取るべきか把握できていますか?
「誰かがやるから大丈夫!」と考えるのではなく、誰でも咄嗟に適切な行動を取ることができるようになる為には、事前に行動を把握し、身体で覚えている必要があります。
小さくても“揺れ”を感じたらすぐに身を守る行動を取る
地震は最初に小さなカタカタという揺れが発生し、続いて大きな揺れがグラグラと発生します。大きな揺れが発生するまでの小さな揺れは、自分の居る場所が震源地から近ければ近いほど短く、遠いほど長くなります。
現代では、緊急地震速報装置の普及により、揺れを感じる前に地震の発生をお知らせしてくれるようなシステムもありますが、「小さくても揺れを感じた時」そして「緊急地震速報を受信した時」にはすぐに身を守る行動を取りましょう。
屋内に居る場合は、落下物から身を守る事ができるテーブルの下に避難し、屋外にいる場合は、ブロック塀や花壇といった倒れてくる可能性のある物からは離れて広い場所に避難しましょう。
窓や扉を開けて避難経路を確保する
地震の衝撃によって窓や扉が変形し、開かなくなる事もあります。揺れを感じたらすぐに手分けして近くの窓や扉を開けて避難経路を確保することが大切です。
〜事前に確認して地震に備えよう〜職員や園児が身を守る避難行動とは?
地震が収まったら避難行動を開始します。園職員や園児の身を守る為のポイントを押さえておきましょう。
事前に決めた避難経路を元に安全な道を通って避難!
幼稚園や保育園では事前に避難経路を決定している事かと思います。地震が発生した際には、パニックになる事もあるかと思いますが、事前に決めた避難経路に沿って安全な道を通って避難しましょう。
避難経路に危険が潜んでいないかどうかはコラムの最初にご紹介したポイントに気をつけて事前に確認しておく必要があります。避難場所までの経路周辺の最新の情報は常に把握しておくようにし、イレギュラー(工事による道の閉鎖など)が発生した場合には、代わりの避難経路を考えるようにしましょう。
避難は基本徒歩で
避難を急ぐあまり車を使って移動しようと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、渋滞に巻き込まれてしまう可能性がある為、基本的には徒歩で避難しましょう。
しかし、状況によっては車での避難が必要な場合もあるかと思います。地震の発生時には、状況を正しく判断し、その時々にあった命を守る行動を取りましょう。
正しい情報を元に避難行動を取る
みなさんは地震が発生した時にどのように情報を入手しますか?
今みなさんの頭にはどのような情報源が浮かんだでしょうか?
地震の発生時には、情報が錯綜し、現場では混乱が生じることがあります。
そんな時に、正しい最新情報を常に確認することが命を守る大きなポイントです。
例えば、いつもお世話になっている近隣住民の方から聞いた情報。これは正しい情報とは言えません。混乱した現場では“デマ”や“噂”が出回る事もあります。しかし、そのような情報に騙されず、【ラジオ】【テレビ】【情報源のしっかりしているサイト】などから正しい最新情報を常にキャッチしましょう。
関連コラムでは、災害時の情報収集に役立つサイト、スマホアプリ、Twitterアカウントを詳細に紹介しております。すぐにできる災害対策として、事前にチェックすることをおすすめします。
まとめ
さて、今回のコラムでは、地震発生の前に事前にできる備え、地震が発生した時に安全を確保する為の行動、大きな地震が落ち着いた後に取るべき避難行動の3つのテーマで地震から身を守るポイントをご紹介しました。
今回ご紹介したポイントに加えて、関連コラムでご紹介しているより詳細な防災対策についても確認いただけると、もしもの時に命を守る適切な行動を自然と取ることができるようになります。
本コラムは園職員の方にも共有いただき、園全体で、子どもたちの命を守るための防災意識を高めていただければと思います。