「防災管理定期点検報告」という制度をご存じでしょうか?
平成19年の消防法改正により義務付けられたもので、対象となる建築物は、1年に1回の報告を怠ると罰則が科せられることもありますので、本コラムの内容を参考に、自園は対象となっているのかどうか、そして報告の内容は適切かどうかをご確認いただけますと幸いです。
年1回実施!「防災管理定期点検報告」とは?
防災管理定期点検報告とは、大規模な建築物に対して実施される点検で、地震といった災害による被害を最小限に抑えることを目的としています。
実施の頻度は1年に1回で、防災管理点検とその点検結果を消防機関に報告する事が義務付けられています。
この点検と報告の基準日は、建物の管理を開始した日となります。その為、1年に1回の定期的な報告はこの基準日の1年以内に実施する必要があります。
防災管理点検報告が必要な対象物は?
防災管理点検報告の必要な建物は、「消防法第8条」が該当となる防火対象物です。
該当するのは主に人の出入りの多い規模の大きな建物が対象になります。
以下に東京消防庁の公開している情報を抜粋してご紹介しますので、ご自身の所有する建築物が対象であるか否か確認しましょう。
上記の情報で判断が難しい場合、建物を管轄している各消防庁に問い合わせすると良いでしょう。
防災管理定期点検報告の流れ
ここからは実際に防災管理定期点検報告を実施するにあたっての流れをご紹介します。
点検を点検業者に依頼する
防火対象物の点検は「防火対象物点検資格者」に依頼する必要があります。
そのため、防火対象物点検の業務を請け負う業者を選定する必要があります。
一般社団法人 日本消防設備安全センターでは、「防火対象物点検・防災管理点検事業者名簿」を公開していますので、初めて防災管理点検報告を実施する方などはこちらからご自身の地域の点検業者を調べてみるのも良いでしょう。
また業者に依頼をする際には、以下のような書類が必要になることがあるので、事前に準備をしておきましょう。
- 防災管理者選任届出の控え
- 防災に係る消防計画の届出に関係する書類控え
- 業者に点検を依頼する建物の平面図
- 業者に点検を依頼する建物の延床面積の分かる書類
- 消防機関からの立入検査結果通知書
- (あれば)直近の防災管理定期報告書の控え
防災管理点検を実施する
防火対象物点検資格者が基準に沿って防災管理に必要不可欠な業務等が為されているか、点検します。点検項目は例えば落下や転倒防止がされているか、関係書類が提出されているかどうか、避難経路の障害物確認、非常食は常備されているか、避難訓練は1年に1回以上実施されているかなどです。
防災管理点検の結果を報告書にまとめ提出する
防災管理点検の結果は報告書にまとめ、管轄内の消防庁または消防署長に提出をします。
点検済証を表示する
消防法令に適合している場合、防災管理点検は完了し、「防災基準点検済証」を1年間表示可能になります。
消防法に違反するとどうなる?
防災管理定期点検報告は消防法によって義務付けられている為、報告を怠ると罰則が科せられます。具体的には、30万円以下の罰金又は拘留の刑が科されます。
「知らなかった」、「自身が対象だとは思わなかった」で済む問題ではないので、自分は大丈夫と思わずに、対象であるのか否か、そして対象であるのであればいつ点検を実施する必要があるのかをすぐに確認しましょう。
まとめ
今回は、防災管理定期点検報告についてご紹介しました。
対象となる建築物を所有している場合は、必ず1年に1回の点検報告を実施し、地震等の災害時に備えましょう。