地震や水害などの自然災害に備え、園としての防災対策を進めることはとても重要です。
一方で、防災の備えは「必要性は分かっているけれど、準備や更新に手が回らない」「費用面のハードルがある」という声も少なくありません。
こうした状況を踏まえ、保育所等の防災機能・対策の強化を目的として子ども家庭庁から「施設機能強化推進費加算」の充実(見直し案)が示されています。
本記事では、制度の内容と見直しポイントを、園の先生方にも分かりやすく整理します。
※本内容は現時点では「案」であり、今後変更となる可能性があります。
施設機能強化推進費とは?
「施設機能強化推進費加算」は、施設における火災・地震等の災害時に備え、職員等の防災教育及び災害発生時の安全かつ
迅速な避難誘導体制を充実する等の施設の総合的な防災対策を図る取組を行う施設に加算するものです。
(※「施設機能強化推進加算とは」川崎市HPから抜粋)
これは簡単に言うと、
災害が起きたときに、子どもたちを安全に避難させられるように“園の備え”を整えている園に出る加算(支援)ということです。
ポイントは、単に物品を揃えるだけではなく、
・災害時に安全に避難できる体制づくり
・職員の防災教育(研修等)
・必要な備品・資機材の整備
など、園としての総合的な防災力を高めることが目的になっています。
見直し内容:何が変わる?【案】
今回の見直し案では、大きく4点がポイントです。
① 取得条件がなくなり、申請しやすくなる
これまで施設機能強化推進費加算(防災)を取得するには、園の運営状況に応じた複数の条件を満たす必要がありましたが、改訂後はこれらの条件が廃止される見込みです。
そのため、加算の取得ハードルが下がり、「制度は知っていたけれど、条件が難しくて活用できなかった」「自園は条件が揃わず、加算の対象ではなかった」という園にとって、防災対策に取り組みやすくなると考えられます。
▼従来必要だった主な条件
・延長保育事業の実施
・一時預かり事業の実施(一般型)
・病児保育事業の実施
・乳児の利用が3人以上の施設
・障害児の利用が1人以上の施設
▼改訂後
上記の複数要件が廃止され、取得要件が簡素化される見込みです!
乳児の利用者数に関する条件がなくなることで、これまで対象になりにくかった幼稚園なども加算を活用しやすくなり、より幅広い施設で防災対策に取り組みやすくなる見込みです。
② 対象事業に「居宅訪問型保育」を追加
見直し後は、対象事業に居宅訪問型保育事業所が追加される予定です。
③ 単価の見直し(年16万円→施設区分で変更)
従来は 一律 年16万円でしたが、見直し後は区分が分かれます。
保育所・幼稚園・認定こども園:年20万円
その他の事業所:年10万円
“防災力を高める取り組み” が条件
施設機能強化推進費で求められる取り組みをまとめると、以下のようなイメージです。これらの取り組みを実施していることが、加算の取得にあたっての前提となります。
災害に備えて、園内で
・災害時に安全に避難できる体制づくり
・職員の防災教育(研修等)
・必要な備品・資機材の整備
といった “防災力を高める取り組み” を進めることが求められています。
防災対策に加えて「防災教育」も対象
今回、先生方にとって特に重要なのがここです💡
この制度は、防災備品の整備だけでなく、職員の防災教育(研修や教材の購入など)も含めて、防災力を高める取り組みとして位置づけられています。
たとえば園内で、
・防災に関する研修を受ける・実施する
・防災教育に必要な教材を整える
・災害対応の知識を職員間で揃える
といった取り組みも、防災対策の一部として重要になります。
日本保育防災協会では、防災研修のご相談も受け付けています
防災について学びたい、先生たち全員で共通理解を深めたいけど、、、
「どこに頼めばいいのかわからない」「防災全般は学べても、保育園・幼稚園に合った内容になっていない」
という声をよく聞きます。
そんな悩みを持つ園のために、日本保育防災協会では園向けの防災研修のご依頼を受け付けています。
協会には、保育防災に特化した専門家講師が多数所属しており、園の状況やニーズに合わせた研修内容を相談・設定することができます。
たとえば、
・災害が起きた時にどう動くかを具体的に理解したい
・避難誘導や安全確保のポイントを学びたい
・日常の保育の中でも役立つ防災の知識を身につけたい
といった目的に応じた研修を行うことが可能です。
「どこに頼めばいいかわからない…」という不安を、専門家の力でサポートできます。
まずは研修の内容や依頼方法について相談してみるのも、一つの手です。
防災対策で見落とされやすいのが「災害時の連絡体制」
災害時は、避難誘導や安全確認で現場が混乱しやすく、情報共有が遅れることで対応が難しくなるケースもあります。
・職員同士の連携が取りにくい
・園内で一斉に情報を伝えたい
・その場で迅速に状況共有したい
・回線混雑で電話がかからない
こうした課題は、備蓄と同じくらい重要な防災の論点です。
連絡体制の整備という観点で「IP無線機」も選択肢に
防災対策の中で、連絡体制を整える方法のひとつとしてIP無線機を活用する園もあります。
IP無線機は、災害時に
・一斉連絡ができる
・現場で迅速に声を届けやすい
・連携、情報共有の手段として機能しやすい
・通信規制の影響を受けず連絡が出来る
といった特徴があり、災害時の初動対応を支える通信手段として検討されることがあります。
施設機能強化推進費の使い道の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?
制度の拡充をきっかけに、防災対策と防災教育を進めよう
施設機能強化推進費加算の見直し案では、
・要件の簡素化
・単価の見直し(最大年20万円)
・対象の拡大
などが示されており、園の防災対策を後押しする内容になっています。
「全部を一度に完璧にする」のではなく、できるところから少しずつ整えていくことが、いざという時の安心につながります。
防災備品の整備だけでなく、防災教育(研修・教材)を含めた園の防災力向上を進めるきっかけとして、制度を上手に活用していくことが大切です。
※本内容は現時点では「案」であり、今後変更となる可能性があります。
おまけ:施設機能強化推進費で準備できるかもしれないもの(例)
※ここで紹介するのは「防災のための備え」として考えられる例です。
※実際に使える内容は自治体によって違うことがあります。詳しくは自治体へご確認ください。
① いざという時に安全に避難するための準備
・避難するときに必要な道具や備え
・園の中で安全に動くための防災用品の見直し・更新
・災害が起きた直後にすぐ動けるための準備
② 災害時に「先生同士がすぐ連絡できる」ための準備
災害のときは、落ち着いて連絡するのが難しい場面もあります。
そんな時に、園の中で情報を早く共有できるように
・先生同士の連絡手段を整える
・みんなに一斉に伝えられる仕組みを考える
・非常時に使いやすい連絡用の機器を準備する
といった見直しも、備えのひとつになります。
③ 備蓄(もしもの時に困らないための準備)
・災害が起きた時に必要な備蓄品の準備・入れ替え
・停電や断水を想定した備え
・園で一定時間対応するための防災備蓄の見直
④ 防災について学ぶ(研修・教材など)
防災は「物を揃える」だけでなく、先生たちが知っておくことで安心につながります。
・防災の研修を受ける/園で研修を行う
・防災に関する教材を準備する
・災害時にどう動くかを学び、共有する
⑤ 園の動き方をそろえる(訓練・体制づくり)
・避難訓練の準備
・災害時の役割分担(誰が何をするか)を整理する
・「迷わず動ける」ための確認・見直し
※この記事は制度の内容を分かりやすく紹介するためのものです。実際に対象になる内容は自治体によって異なる場合がありますので、申請の際は自治体の案内をご確認ください。
