皆さんは、第三者評価という言葉を聞いたことがありますか?保育園で働いている方の中にはすでに聞いたことがあり、自園で評価を受けたという方もいるかと思います。
今回は、元園長であり第三者評価を数回受審した経験から、第三者評価の意義についてお伝えします。
第三者評価とは?
第三者評価とは、質の高い福祉サービスを事業者が提供するために、保育所、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、障害者支援施設、社会的養護施設などにおいて実施される事業について、公正・中立な第三者機関による専門的・客観的な立場からの評価を受ける仕組みのことです。
そして、評価を受けるだけではなく、調査結果をインターネット上に公開するため、入園を考えている保護者が見て、参考にすることができます。
自治体が行う指導検査とは異なり、指導に含まれないソフト面など各園の個性なども評価されるため、園の有益な情報を得ることができます。
ただ、評価を受けるには費用が掛かり、全国の保育施設が全て行っているわけではありません。
東京都や神奈川県など特定の地域は補助金があり、数年に1度受審するようになっているため、多くの園が第三者評価を受審しています。
第三者評価の実施内容
では、第三者評価はどのように行われるのでしょうか。
- 保護者、保育者全員にアンケートを実施
- 評価機関からの質問票の回答
- 質問票に基づくヒヤリングおよび関連書類の確認
- 実地訪問による内部調査
このような順で第三者評価は行われています。
アンケートについては、保護者からの率直な意見や個々の保育者たちの意見が園を通さずに第三者機関に送られるため、利用者側も伝えやすさがあります。
質問票については、50項目以上あるものを園長が回答していきます。ひとつひとつに回答と根拠書類等を用意する必要がある為、数日間掛かりようやく完了するという大仕事でした。ただ、質問票にひとつひとつ回答をしていると、自園の振り返りにもなり、良い点や改善点などを見つけられ、そのような点からもとても良い機会でもあると言えます。
私が受審した際の実地調査は、評価機関の方数名が園に出向き、実際の保育を見学します。園長を介さず、評価機関の方々が自由に園内を見て回るスタイルでした。保育中の保育士たちの言葉掛けや給食の配膳の仕方、園内に掲示しているものなどを見たり、様々な視点から園を見て評価をしていました。
評価結果については後日園に送られてきます。
自治体の指導検査とは異なり、園が行っている良い取り組みや改善が望ましい点がアドバイス付で報告書にまとめられています。
自分自身が気づいていなかった点などを良い点改善点として評価され、職員全体で共有し、改善点については今後に活かすためにどうするかを検討する機会にもなりました。
第三者評価結果の活用方法
保育園の入園を考えている保護者
第三者評価の評価結果は、インターネット上で誰でも見ることが可能です。そのため、保育園の入園を考えている保護者は参考として見ていることも多いようです。
就職活動中の保育士
就職活動中の保育士も園選びの手段のひとつとして第三者評価を調べてみるのもおすすめです。
園児獲得の手段
第三者評価は改善点ばかりではなく、園独自の良いところを評価しています。例えば、地域との交流を大事にしている、安全意識が高く職員全員が研修を受けているなどです。第三者評価を受けているという公表だけでなく、そのような高評価について、園はもっとアピールをして、少子化の中での園児獲得の手段の一つとして活用するのも良いと思います。
まとめ
これから先、近い将来全国で「保護者が保育園を選ぶ時代」が必ず来ます。その際に、保護者は第三者評価が大きな基準のひとつとなるはずです。
保育園側も第三者評価の意義を改めて認識し、活用していけるようになることが理想ではないでしょうか。